今回は高い声で歌うために必須のテクニック、ミドルボイスの習得方法について他の記事とは違う観点で解説します。
なぜこの記事を書こうと思ったかというと、ちょっと最近出回っている情報に対して問題を感じているからです。
ミドルボイスについては色んな人がやり方を発信しています。
そして、そのほとんどはその人自身が実際にできるようになるまでのプロセスを開示しているので、基本的には全部正しいんです。
ただ、ここに問題があるんです。
全部正しいからと言ってもあなたにとっての正解とは限りません。
なぜなら、声帯は人によってタイプが違うので、自分の声帯に合ったやり方とトレーニングをしないといけないんです。
そのことを知らずに色んな動画を漁って練習して、それが原因で何年も苦しんでいる人が実際非常に多いんです。
ですので・・・!
今回はあなたにとってのミドルボイスの正解の見つけ方がわかるような内容を書いていきます。
・あなたの発声の課題がわかる。
・何をトレーニングすればいいかがわかる
そもそもミドルボイスとは何か?

歌声には原則、3種類あります。
地声・裏声・そしてミドルです。
ミドルの印象は地声と裏声のちょうど中間のような声になります。
ここまでは、少し勉強していると知っている人も多いと思います。
しかし、肝心の地声と裏声とミドルの明確な違いについて科学的に語られている事がない。
だから、まずはここを補足します。
地声、裏声、ミドルボイスの科学的な違いとは?
それぞれの声の違いは一言でいうと、声帯の開き方によって決まります。
声帯は開いたり閉じたりできます。
・地声とは、声帯を締めた状態での発声
・裏声とは、声帯を開いた状態での発声です。
ため息をした状態で声を出すと声帯が開くので裏声が出ます。
そこから通常の声で喋ろうとすると、声帯が締まって、地声が出ます。
ミドルボイスとは、声帯を半開き状態にして声を出す技術です。
最も重要な話をすると、ミドルボイスにとって一番大切なのは、その開き具合をキープすることです。
じゃあ、どうやったらキープできるのか?
これをこの記事で解説していきます。
よくある間違い①:ムダに歌いこんでもダメ。
ここで勘違いしないでほしいのが、
「よし、じゃあそのために歌い込みだ!」
と、歌い続けて鍛えようとする人多いんですが、これは間違いです。
なぜなら、間違った発声で歌い続けても高い声が出ることはないのです。
これはミドルボイスに限らず、ボイトレ全体として言えることなので、肝に銘じといてください。
例えるなら、こういうことです。
野球で球がまっすぐ投げれないのに、ただただひたすら投げ続ける・・・
これで上手くなりますかね?
なりませんよね。
なぜ球がまっすぐじゃないのか考えます。
原因を分析して、改善します。
大体はフォームが原因だと思いますが
「ボールが凹んでてまっすぐ飛ばなくなってた」ってこともありえます。
それが分かれば、ボール交換しましょうって改善ができる。
途端にまっすぐ球が走るようになります。
これとまったく一緒なんです。
よくある間違い2:いろんな方法を試しまくる。
ミドルボイスも同じで、シンプルなトレーニングに絞って練習することで効率的に習得できます。
だから、めちゃくちゃ歌いこんだり、色んな方法を試しまくるのは、練習として逆効果なので止めましょう。
もし本気で最速でミドルの習得を狙いたい人は、この記事を最後まで読むまで、効果のよくわからないボイトレを試しまくるのは中止することをオススメします。
それぐらいちゃんとした内容を解説していくので、最後までお付き合いくださいね!
効果的にミドルボイスを習得する方法:
声帯のタイプを知る!

・・・ということで!
効率的にミドルボイスを習得するために何をすればよいか?ですが
まず自分の声帯のタイプを知ることから始めましょう。
冒頭にも書きましたが、人の声帯には生まれつきのタイプがあります。
自分のタイプを認識することで、やるべきトレーニングプランが変わってきます。
ぜひまずは自分の声帯のタイプを見つけましょう。
声帯のタイプは男女ともに4タイプあります。
それは以下の通り。
① Long-Fatタイプ
② Short-Fatタイプ
③ Long-thinタイプ
④ Short-thinタイプ
ひとつずつ解説しますね。
Long-Fatタイプの声帯は、声が太く低音が魅力的。
歌手で言うと、サザンの桑田佳祐さんや米津玄師さん、女性シンガーだとUruさんやAIさんなんかが特徴的です。
高い声を出すには苦手な部類の声帯ではありますが、出ないわけではありません。
例えばQueenのフレディマーキュリーもこのタイプだったのではと言われています。
クラシックだとバリトンやアルトと呼ばれることが多いタイプです。
Short-Fatタイプの声帯は、声は太くかつ高音が出やすいタイプ。
かなり羨ましいタイプです。
代表的な方だとONE OK ROCKのTAKAさんやB’zの稲葉さん、ドリカムの吉田美和さんやSuperFlyの越智さんがいらっしゃいます。
ロックやメタルを歌うのに最適な声質だし、ミュージカルでも花形の声質ですが、逆に繊細な歌い方をするには訓練が必要です。
クラシックだと、テノールやソプラノと言われることが多いです。
Long-thinタイプの声帯は、繊細な声質の方が多いです。
高い音は苦手ですが、雰囲気作りが上手く技術を身につけると鳥肌物になったりします。
代表的な声質としては、男性だと平井堅さんやATSUSHIさん、宇多田ヒカルさんや中島美嘉さんなどが分かりやすいです。
表情をつけやすい声なので、声優さんにも多いタイプです。
その代わり、高音では負担が大きく傷めやすいので運用には要注意な声質です。
ちなみに僕もこのタイプです。
Short-thinタイプは高音でドヤ顔できます。笑
いくらでも高音が出せるタイプで、音域で苦労するという事はないタイプです。
その代わり、そもそもの声質が弱いので、メインで歌う場合は歌い方やコーラスで補強する場面が多いです。
代表的な歌手の方はまふまふさんやゆずの岩沢さん、女性だとmiwaさんやYOASOBIのikuraさんなんかもそうです。
ちょっと面白い話をすると、MY FIRST STORYのHiroさんはこのタイプです。
お兄さんのTakaさんがLong-thinタイプですので意外だと思いますが、兄弟でも声帯のタイプが違うことがあります。
以上の4タイプそれぞれ、得意な音域とそうでない音域があります。
ですので、自分と違うタイプの人の練習方法をしても、そもそもの前提が違い過ぎるので効果が出ない場合がほとんどなんです。
例えば、高音が出やすいShort-thinタイプの人がよく言うのが「歌ってたら勝手に出た」という言葉ですが、これを高い声が出にくいLong-Fatタイプの人が鵜呑みにしたらアブナイです。
Long-Fatタイプの人は土台になる呼吸からしっかり鍛えるべきなんです。
あなたの声がどのタイプか判別する方法

ここでは一番簡単な機材を使わない簡易的な方法をお伝えしておきます。
その方法とは非常に簡単で、自分が好きな声質を思い浮かべてみて下さい。
曲が好きとかじゃなく、「音」としてその声が好きというものです。
その声があなたの声のタイプです。
(正確に見極めるのであれば周波数のデータから見極めないといけないのですが、ここでは割愛させてください)
これは脳科学的な話になりますが、人は自分と近い声質を好きになります。
その声になれる要素があるから好きになるのです。
逆に言うと、自分がなれない声を人は避けます。
皆が「この声、イイ!」と言ってても、好きになれない声ってあるじゃないですか?
自分には出せない声だと分かっているので、本能的に避けようとしているのです。
だから、たまに「声がキモい」って馬鹿にしてくる酷い人がいますけど、そういう人に遭遇した時は「あぁ、この人と自分は声帯のタイプが違うんだな」と思えばいいです。
心無い言葉を言われても、冷静に自分の上手くなる方法を実行してもらえればOKです。
高い声で悩む人の弱点は2つだけ。

では、あなたのタイプが分かったところで次の話に行きましょう。
次は声の基礎的な能力がちゃんと使えているかをテストしましょう。
ここでは、理論はすっ飛ばしてドンピシャであなたの声の弱点を見つけていきます。
高い声で悩む人の弱点は2つしかありません。
呼吸か、声帯かです。
あなたの呼吸と声帯をテストする方法
あなたの呼吸と声帯がどんな具合かをテストする方法をご紹介しますので実際にやってみて下さい。
これらがどちらも出来ていれば、ミドルボイスはほとんど出せますし、出来ない場合は呼吸か声帯か、もしくはその両方が足らないという事が分かります。
①呼吸のテスト
呼吸のテストは非常に簡単です。
30秒まっすぐ呼吸が吐けるか?です。
では実際にやってみましょう!
・・・
・・・
いかがでしょうか?
ちょっとでもブレたりしてはいけません。
しっかりまっすぐ30秒このロングブレスをキープしてみて下さい。
②声帯のテスト
では続いて声帯をテストしてみましょう!
こちらもキープが大切です。
声帯が半開きの状態を意図的に作って、それを維持してみましょう。
いわゆるホイッスルキープというテストです。
ポイントは以下。
・ため息を吐いて声帯を開いてから、「ハッ」という具合に声帯を締めます。
・その時に「キュッ」と声帯が鳴る箇所があります。
これがいわゆるミドルボイスのポイントです。
これを10秒間キープできるか試してみてください。
まずは溜息を吐いて、そこから「ハッ」
・・・
・・・
いかがでしたか?
音が鳴らなかったり、途中で途切れてしまった場合は声帯が弱点です。
以上の2点は、声帯のタイプ関係なく、誰でも出来る動作です。
まずはタイプを知って、自分の特性を理解したうえで弱点を把握してみて下さい。
特に、4タイプの中で1番高音が出にくいと言われているLong-Fatタイプの方は、呼吸が出来ない場合、声帯もやりにくい方が多いです。
この場合は、まず呼吸を見直してから声帯のトレーニングに移ると良いでしょう。
高音が出やすいShort-thinタイプなのに高音が出せず、呼吸は出来ていて声帯のテストがクリアできない方は声帯のトレーニングに集中すれば良いです。
人それぞれ本当にボイストレーニングは違ってきます。自分に合ったトレーニングを行ってください。
※注意点※
今回ご紹介したテストはあくまでテストです。
これだけで正しくミドルボイスが習得できる物ではありません。
ここまではあなたの声のタイプと弱点を見つける段階になります。
ちなみにテストが両方クリアできた場合・・・
先程のテストが両方クリアできたなら、あとは自分の声帯のタイプに合ったアーティストの楽曲を反復練習すればOKです。
参考までに各タイプ別の代表的な課題曲をご紹介しますね。
- Long-Fatタイプの方の場合は、僕のひまわりの約束を解説した動画がオススメです。
- Short-Fatタイプの方はB’zのultra soulの解説動画などが分かりやすいでしょう。
- Long-thinタイプの方は白日の解説動画は分かりやすいです。
- Short-thinタイプの方はRusty nailを解説した動画がオススメです。
この辺を見て更に理解を深めてみて下さい。
どうしてもミドルボイスが出ない場合は…?

あなたがどうしてもミドルボイスが出せない!
・・・こういった場合、呼吸や声帯チェックの基準が守れていない可能性が高いです。
一番上の動画を最初から見直してみてください。
まとめ
ミドルボイスの習得には、呼吸・声帯の感覚、そしてその2つのバランス感覚を身につけることが肝心です。
そして、それは誰かの感覚ではなく、自分自身の感覚を見つける必要があります。
何度も言うように、人それぞれ声帯のタイプは違います。
ぜひ、あなたらしいミドルボイスを身につけてもらえたら嬉しいです。
- まずはミドルボイスへの正しい認識を持ちましょう。
- 自分の声帯のタイプを知りましょう。
- 呼吸と声帯のテストを実践しましょう!
- あなたの弱点を見つけて、弱点に合わせたトレーニングを実践しましょう!
これがミックスボイスを完全攻略する全手順です。
単に頑張るのではなく、自分に合った方法を頑張ることが大切です!
そうすれば、あなたでもミドルボイスは習得できます。
ちなみに僕は、高音が出しにくいLong-thinタイプです。
自分に合わない練習方法を無理に行った結果、喉を壊した経験もあります。
それでもミドルボイスを習得でき、プロの現場で歌っています。
高音は才能ではなく技術ですので、是非とも諦めないでください。
高音を最速で習得したい方へ
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「限界キーをもっと上げたい!」
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それでは次の記事でまたお会いしましょう。
Let’s Training!